ベトナムを訪問中の菅義偉首相は19日午前、ハノイの首相府で同国のフック首相と会談した。菅首相が対面で外国の首脳と会談するのは就任後初めて。菅首相は会談後の共同記者発表で、日本で生産した防衛装備品や安全保障技術を輸出する場合に相手国に求めている条件を定めた協定の締結で、実質合意したことを明らかにした。
会談では、中国をにらみ、法の支配など価値観を共有する国々との連携を広げる日本の外交方針「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の推進について協議。ベトナムが主導し、FOIPとの共通点も多い東南アジア諸国連合(ASEAN)のインド太平洋に関する展望への支援も伝えた。
コロナ禍で落ち込んだ人の往来が再び活発になるよう、一定の条件の下でビジネス関係の短期出張者らの入国を認める措置の運用を始める。定期航空便も再開する方針。中国依存が明らかになった日本の生産供給網の分散化に向けて経済協力も強める。
菅首相は同日午後、ハノイの日越大学でASEANに向けた政策演説を行う。地域の平和と繁栄に日本が貢献する考えを示す。(ハノイ=伊沢友之)